Production of anserine-rich fish sauce from giant masu salmon, Oncorhynchus masou masou and γ-aminobutyric acid (GABA)-enrichment by Lactobacillus plantarum strain N10
Taoka Y., Nakamura M., Nagai S., Nagasaka N., Tanaka R., Uchida K.
Fermentation 5 ( 2 ) 2019年06月 (doi.org/10.3390/fermentation5020045)
宮崎県北部の五ヶ瀬町では古くから清らかな河川水を利用しながらヤマメの養殖がなされています。この地域は冬場になるとスキー客で賑わうほど気温が下がるため、冷水性のヤマメもさすがに冬季には、成長しなくなる、このことが生産性を遅延させるボトルネックとなっていました。
宮崎大学農学部海洋生物環境学科の内田勝久教授らのチームは、水温の下がる冬季にヤマメを東方の延岡沿岸まだ移送し、冬の数か月の間のみ海水飼育する技術を開発しました。延岡沿岸海水は冬場でも20℃前後であるため、ヤマメの成長に最適な水温なんですね。このことで、ヤマメを短期間で巨大化させることに成功しました。
この巨大化したヤマメを「みやざきサクラマス」と呼称し、新規水産ブランドとして発信しています。
この画期的な巨大化技術の成功を受けて、新たな課題も見られるようになりました。
サクラマスを販売する場合、可食部を刺身等で提供します。またサクラマスは、サーモンのイクラとは異なり黄金色の卵を作るため、これを黄金イクラとして販売しています。
問題は後者、採卵後の個体です。卵を蓄えた個体の身は痩せているので、刺身等での販売が難しく、廃棄せざるを得ません。
そこで我々が考えたのは、採卵後のサクラマスを自己消化(自身のタンパク質分解酵素で分解)させ魚醤油を作ってみよう、という戦略です。
本論文は、この採卵後のサクラマスを用いて魚醤油を作り、その成分評価を行ったものです。このようにしてつくられた魚醤油は、機能性成分として知られるイミダゾールジペプチドの一種、アンセリンを特異的に高含有していることが明らかとなりました。
アンセリンは抗疲労などの効果が知られており、アスリートや高齢者向けのサプリメントとしても販売されている成分ですね。
捨てられるはずの採卵後の個体を用いて、アンセリン強化魚醤油の開発、製品化を現在も進めています。商品化の暁にはぜひお試しを。
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